トマトの甘みを引き出す低水分栽培
トマトの甘みを引き出すポイントは、かん水を抑えて低水分でじっくりと栽培することです。
低水分でじっくりと育てられたトマトは、わずかな水分も体内に取り込もうとしてギュッと濃縮し糖度が上昇します。
これにより当農園のトマトは、通常250gくらいのトマトが100gくらいまで濃縮し美味しいトマトになります。少ない土壌水分を吸い上げるため果実に糖分を蓄える。この栽培方法のように、トマトにストレスを与えることが重要です。
先端から放射状にスジが見えるもの
本当にうまいトマトは、先端から放射状にスジが見えます。これは低水分栽培を行っているからです。トマトの糖度がぎゅっと濃縮する際にこのようなスジが現れるのです。
グリーンベースが濃いトマト
トマトのヘタ付近の濃い緑色を「グリーンベース」と呼びます。通常、トマトは葉で光合成を行い栄養素を蓄えますが、低水分で栽培されたトマトは実自体でも光合成を行おうとし、このグリーンベースが出現します。
赤く熟していくにつれてグリーンベースは見えにくくなりますが、トマトのヘタ付近にグリーンベースが残っていたら、美味しいトマトの証拠です。
艶があり濃い紅色をしたトマト
これに放射状のスジやグリーンベースが出ていれば完璧にうまいトマトといえます。糖度でいえば10度近くはあると思います。
一方で、スーパーなどでよく見かける全体的にピンク色で塩を振ったような細かい点が見られるトマトは、味気のないトマトの代表格といえます。
トマトは日中と夜間の寒暖差が大きいほど甘く、味の濃いトマトに育ちます。
この寒暖差が最も大きくなる季節が冬です。
トマトが育つ冬のビニールハウス内は日中は30度近く、
夜間は10度以下となり、寒暖差を繰り返しゆっくりと熟していきます。
この冬を乗り越えたトマトが収穫期を迎えるのは4ー5月となりますので、
年間を通して最も美味しくお召し上がりいただけます。
当農園では7月後半と9月後半の2回に分けて、約6,000粒の種を一粒一粒ピンセットで植え付けていきます。
育苗は種後、約1週間ほどで発芽しすくすくと成長していきます。
葉が混みあってきたらポット鉢に植え替えをします。
ポット鉢に植え替え後、花が咲くまで約1カ月間育苗します。
この期間は水やりが非常に重要で、毎朝、1鉢1鉢成長具合を見て水かけを行います。
いよいよ畑に植え付けていきます。
畑は土壌診断を行い、事前に必要な肥料を散布し準備を行います。農業では「苗半作」を言われるように、根がしっかり張った元気な苗が出来れば、この先の成長も期待できます。
定植後は誘引、摘葉、摘果などの栽培管理が続きます。
この頃はほぼ無潅水で育てるため、トマトは水を求めて深く広く根を張っていきます。
開花からの積算温度が約900度を超えるといよいよ収穫期に入っていきます。
わずかな水分を求めてギュッと凝縮したうまいトマトの出来上がりです。グリーンベースもしっかり出たうまいトマトの完成です。